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兵庫県弁護士会の会長声明

更新日:6月9日

弁護士会

兵庫県弁護士会は、2024年(令和6年)4月19日に「離婚後共同親権導入に関し慎重かつ開かれた議論を求める会長声明」を発表しました。以下にその内容を示します。


1. 声明の趣旨


離婚後共同親権の導入を含む民法等の改正法案について、法案を取り下げ、子どもの福祉を現実的に確保するために十分かつ慎重な議論を重ねることを求めます。


2. 声明の理由


1. 法案の現状


2024年3月8日、離婚後共同親権を導入する内容を含む「民法等の一部を改正する法律案」(以下「本改正案」)が国会に提出され、同年4月16日には衆議院本会議において賛成多数で可決されました。今後、参議院での審議が開始される見通しです。


2. 議論の不十分さ


本改正案は、法制審議会家事法制部会の採決の際、複数の部会委員が反対・棄権するという異例の経過をたどりました。賛成した委員からも「共同親権が望ましい場合と単独親権の方がよい場合の基準や運用について十分な議論ができなかった」とのコメントがありました。


また、2023年12月から2024年2月に実施された中間試案に対するパブリックコメントには、8000通を超える多数の意見が寄せられ、個人の意見では共同親権に反対する意見が賛成意見の約2倍であった事実が公表されていますが、その具体的内容は部会内で共有されていません。


3. 離婚後共同親権の問題点


DV事案の懸念

DV事案や虐待等の事案では、共同親権が継続悪化する可能性があります。父母の葛藤が高い事案では共同決定をめぐり紛争が継続し、子どもが被害にさらされ続ける懸念があります。非身体的暴力が含まれるDVには客観的証拠の収集が難しく、誤った判断がされることのないよう、支援体制の充実と調査体制の整備が重要です。


子どもの養育に関する決定

子どもの養育に関する決定は、適時適切に行われなければなりません。親権の共同行使のための協議が整わない場合、裁判所が親権行使者を指定しますが、転居などの重要な決定が遅れることで親の仕事や子どもの生活に支障が出る可能性があります。また、共同親権では「日常の行為」として各親権者が単独で行使できる内容が明確でないため、日々の決定をめぐり紛争が多発する懸念があります。


急迫の事情の明確化

本改正案では「子の利益のため急迫の事情があるとき」と規定されていますが、この表現は不明確です。DV被害者の保護や支援が後退する懸念があり、法務省の解説に従って具体的な文言に改めるべきです。


裁判所の体制強化

本改正により、子の監護に関する裁判所の介入の機会が増大し、その負担が増えることが予想されます。現在の家庭裁判所の人的・物的体制は不足しており、迅速な紛争解決と調査・審理体制の強化が必要です。



3. 結論と要望


兵庫県弁護士会は、真に子の利益に資する議論と検討を行うよう強く要請しています。離婚後共同親権の導入については、離婚当事者やDV被害者、支援者の意見を丁寧に聴取し、最新の諸外国の動向や調査結果を踏まえ、慎重かつ開かれた議論を行うべきです。


 

おやこハピネスは、今後も兵庫県弁護士会の動向に関心を持ち、注意深く見守っていきます。


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兵庫県弁護士会の声明全文については、公式サイトまたは関連資料をご参照ください。

スは、今後も弁護士会の動向に関心を持ち、注意深く見守っていきます。


離婚後共同親権導入に関し慎重かつ開かれた議論を求める会長声明

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