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広島弁護士会の会長声明

更新日:6月9日


弁護士会


2024年4月24日、広島弁護士会は「離婚後の共同親権導入を含む民法等改正法案について十分かつ慎重な議論を求める会長声明」を発表しました。以下に声明の要点をまとめます。


声明の趣旨


広島弁護士会は、離婚後の共同親権の導入を含む民法等の改正法案について、法案を取り下げ、子どもの福祉を現実的に確保するために十分かつ慎重な議論を重ねることを求めています。


声明の理由


1. 改正法案の可決状況と問題点


2024年4月16日、離婚後の共同親権を導入する「民法等の一部を改正する法律案」(以下「改正法案」)が衆議院本会議で可決されました。しかし、法制審議会での採決では複数の委員が反対・棄権しており、国民の理解が得られているとはいえない状況です。


2. 共同親権の行使に関する不明瞭さ


改正法案では、共同親権下で各親権者が単独で行使できる「日常の行為」と、共同で行使すべき「重要な行為」の具体的内容が不明確です。このため、具体的な内容を巡る紛争が多発する恐れがあります。特に、協議をすることが難しい、会話すらできない両親の間では、子どもの進学や医療などに支障が出る可能性があります。


3. 「急迫の事情」の不明確さ


改正法案では、「急迫の事情」がある場合に単独で親権を行使できるとしていますが、その具体的な定義が不明確です。これにより、DVや児童虐待からの避難が難しくなる可能性があります。


4. 家庭裁判所の体制不足


離婚後共同親権の導入に伴う法的紛争が増加することが予想されますが、現状の家庭裁判所の体制では対応が困難です。特に調停や審判の件数が増加すると、離婚に伴う紛争解決がスムーズに進まない恐れがあります。


5. 合意のない共同親権の問題


改正法案では、合意がない場合でも裁判所が共同親権を命じることができるとしていますが、これは高葛藤のケースで問題となる可能性があります。当事者の意思に反して紛争が続くことで、子どもの福祉が損なわれる恐れがあります。


6. その他の問題点


日本弁護士連合会は、離婚後共同親権を選択した場合の監護者指定を必須とすべきと主張していますが、改正法案ではこれが必須とされていません。また、子どもの意見表明権の保障が明記されていない点や、「親権」という用語が維持されている点も問題視されています。


結論と要望


広島弁護士会は、改正法案が多くの問題を抱えたまま国会で可決されようとしていることに強い懸念を表明しています。離婚後の共同親権について国民の理解を得るため、法案を一旦取り下げ、多くの当事者や関係者の意見を踏まえた十分な議論を重ねることを求めています。


おやこハピネスは、今後も弁護士会の動向に関心を持ち、注意深く見守っていきます。


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仙台弁護士会の声明全文については、公式サイトまたは関連資料をご参照ください。


離婚後の共同親権導入を含む民法等改正法案について十分かつ慎重な議論を求める会長声明

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