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仙台弁護士会の会長声明

更新日:6月9日

弁護士会

2024年5月17日、仙台弁護士会は「離婚後の共同親権の導入を含む民法等の改正法案に反対する会長声明」を発表しました。この声明は、離婚後の共同親権導入に対する懸念とその理由を詳述しています。


共同親権の問題点


仙台弁護士会は、以下の理由から共同親権の導入に反対しています。


1. 裁判所の判断への懸念


改正法案では、離婚後の共同親権が導入され、協議離婚だけでなく裁判離婚でも共同親権が認められることになります。裁判所は、父母間に共同親権の合意がない場合でも、共同親権を命じることができるとされています。しかし、虐待やDVは密室で行われることが多く、その立証が難しいため、裁判所が虐待やDVを見逃して共同親権を命じる可能性があると指摘しています。


2. 高葛藤の両親間での共同養育の問題


共同親権が導入されると、高葛藤の両親間でも共同養育が強制される可能性があります。この場合、子どもが両親の高葛藤状態にさらされ、成長発達に悪影響を及ぼす恐れがあります。さらに、進学、医療同意、居所指定等の重要な事項に関して父母双方の許可が必要となるため、協力体制を築けない夫婦間での共同親権は現実的ではないとされています。


3. 家庭裁判所の負担増加


家庭裁判所が柔軟かつ充実した判断を行うためには、現状の人的・物的体制の強化が必要です。しかし、現行の家庭裁判所の体制ではこれを担うのは困難であり、適切な判断が期待できないとしています。


4. DV被害者への影響


協議離婚の場合でも、DV被害者が離婚を急ぐあまり共同親権を選択せざるを得ない状況に追い込まれる可能性があります。これにより、加害者が子どもに関する重要事項の決定を理由に被害者や子どもに接触し続けることが懸念されています。


5. 養育費や面会交流の問題


現行の離婚後単独親権制では、養育費の未払いが生じやすく、非親権者との面会交流が十分に実施できないとの指摘があります。しかし、共同親権制が導入されても養育費の支払義務が強化されるわけではなく、面会しやすくなるわけでもないため、この指摘は的外れだとしています。


結論と要望


仙台弁護士会は、本件改正案には多くの問題があるとし、現時点での共同親権導入には反対の立場を取っています。声明では、改正案を一旦取り下げ、離婚後共同親権の導入による影響を受ける当事者や関係者、国民の意見を十分に踏まえた議論を求めています。


おやこハピネスは、今後も弁護士会の動向に関心を持って、しっかりと見守っていきます。


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仙台弁護士会の声明全文については、公式サイトまたは関連資料をご参照ください。


離婚後の共同親権の導入を含む民法等の改正法案に反対する会長声明



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