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2024.5.24 共同親権改正民法 公布

更新日:6月9日

令和6年5月17日、日本の民法に関する歴史的な改正案が国会で可決・成立し、本日5月24日に正式に公布されました。この改正法の中心にあるのは、離婚後も父母双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入です。これにより、日本では明治民法以来続いてきた単独親権制度が大きく変わることとなります。



共同親権


日本の単独親権制度は、1898年に施行された民法第819条に基づき、離婚後の親権を父または母のどちらか一方が持つものとして長年続いてきました。しかし、この制度は離婚時の親権争いを激化させ、子どもにとって最善の環境が提供されないケースを生んでいました。離婚の際には必ず親権者を一方に決定しなければならず、これが親子関係の断絶を招く一因となっていました。


多くの先進国では、離婚後も両親が共同で親権を持つ「離婚後共同親権制度」が一般的です。日本が単独親権制度を維持してきたことに対しては、国際社会からも批判が強まっていました。2010年にはアメリカのカート・キャンベル国務次官補がハーグ条約の履行を求め、2018年にはアメリカ国務省が日本をハーグ条約の不履行国に認定するなどの動きがありました。


今回の改正法により、離婚後も父母双方が子どもの養育や教育に関与し続けることが可能となります。共同親権制度の導入は、子どもにとって安定した環境を提供し、親権を巡る争いを緩和する効果が期待されます。さらに、育児の負担も分散されるでしょう。


しかし、共同親権制度には課題もあります。重要な決定を両親が合意する必要があり、離婚後の感情的な対立から意見がまとまらない場合も考えられます。このような場合、親権が行使できなくなるリスクがあります。

欧米諸国では、共同親権がうまく機能している例が多く見られます。アメリカでは、離婚に際して養育計画を裁判所に提出し、裁判所の承認を受けることが一般的です。スタンフォード大学のMaccoby教授によると、離婚後の親の多くは合意に至っており、裁判になるケースはごく少数です。


国連の子どもの権利委員会は、子どもの最善の利益を最優先に考えるべきだと提言しています。離婚後も両親が協力して子どもを育てることが重要であり、共同親権の方が子どもの福祉に適しているとされています。


この歴史的な法改正により、日本でもついに「離婚後共同親権制度」が導入されました。この制度が、より多くの子どもたちとその親にとって明るい未来を切り開く一歩となることを願っています。私たち弁護士は、この新しい制度が円滑に運用され、子どもたちが健全に育つ環境が確保されるよう、積極的に関与していく所存です。これからも、「子どもの目線で考える」理念のもと、より良い社会の実現に向けて尽力してまいります。

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